【開催御礼】12月イベント (講演会・調理実習)「和食を通じて『食』の基本を学ぶ」


皆さま 新年明けましておめでとうございます。

本年も青年委員会をよろしくお願い申し上げます。

さて、大変遅くなりましたが、先月12月は12月イベントとして、青年委員会初の企画「講演会&調理実習」として、「和食を通じて『食』の基本を学ぶ」を行いました。

このお正月、皆さまの地元ではどんなおせち料理を食べていらっしゃいますか?お雑煮、お煮しめ、数の子、伊達巻、昆布巻、などなど。。。お雑煮などは全国各都道府県で違いがありますが、それでも上に挙げた中で共通して使われているものがあります。

それが12月イベントのテーマ【だし】です。

イベントお知らせでも書いていますが、今回のイベントでは、「食品技術士センター」の伊藤会長に全面的なご協力をいただきまして、(有)レザン研究所アール 嶋田 潤治 氏をご紹介いただき、ご講師をつとめていただきました。なかなかご講義と調理実習両方をご依頼できる方は数少ないのだそうです。しかも12月は食品業界が繁忙期であったところ、伊藤会長、嶋田先生には貴重な週末を空けていただき、大変感謝しております。

さて、嶋田先生は今回のテーマ「だし」の専門家であり、和食料理人から現在は高級おせちをはじめ、和食惣菜等の監修を手がけられている方です。日頃から、和食を通じて「食」の基本的なところを多くの人に伝えたい、と考えて活動されているとのことで、そこで今回のイベントタイトルを「和食を通じて『食』の基本を学ぶ」としました。

こちらが食品技術士センター 伊藤会長です。イベント冒頭に、食品技術士センターのご紹介をいただきました。食品技術士センターは食品業界で活躍される技術士の部門横断的組織で、食品技術士センターとして毎月講演会等も開催されています。伊藤会長ご本人は食肉の専門家で、食肉のハラル認証等も手掛けていらっしゃいます。

(有)レザン研究所アール 嶋田 潤治 先生です。食品の監修だけでなく、時々料理教室の講師も務められることもあるそうで、本当に素晴らしいご講義をいただきました。

実習では、金沢の郷土料理である「治部煮」を作るとしたのですが、治部煮を作る際とっただし汁を使ってキャベツの浅漬けを作ったり、だし汁を使った簡単な実習も行いました。

こちらオフショットですが、実習用に嶋田先生に4種類のだし汁を作っていただき、参加者の皆さんに飲み比べをしていただき、「だしの味比べ」シートを使って簡単な官能評価を行っていただきました。①利尻昆布、②日高昆布、③利尻昆布+硬水(コントレックス)、④某顆粒だし ・・・さて、一番美味しいのはどれでしょう?

・・・正解は「① 利尻昆布」です!利尻昆布または羅臼昆布が、旨味の濃いだしがとれる最も良い昆布だそうです。日高昆布は、今回使ったものは割とよくだしがとれていましたが、昆布特有のえぐみも出ていました。官能評価ですから人により感じ方の違いもありますが、一般に利尻昆布や羅臼昆布が上品な丸みのあるだしがとれるそうです。
では、利尻昆布と硬水ではどうでしょう? ・・・こちらは、硬水でだしをとろうとすると、ほとんどだしの味が出ません!硬水に含まれるカルシウムがだしの旨味成分の抽出を阻害するのだそうです。本当に硬度の低い軟水がよいそうで、水の硬度が低い京都では、西廻り航路により北海道の昆布が手に入りやすいこともあり昆布だしが使われるようになったとのことです。ヨーロッパでは水道水も硬水なので、現地で日本料理屋を開く方はだしがとりにくく苦労されるそうです。
官能評価だけでなく、①~④の各サンプル、各班の実習でとっただしをBRIX計で計ってもらいました。BRIX計にもいろいろ種類があるそうですが、今回は「可溶性固形分総量」について計り、抽出成分量の指標としました。

こちら実習風景です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

各調理台を回って、個別に肉や野菜の切り方も教えてくださいました。お米の美味しい炊き方も習いましたよ!

 

 

 

 

 

 

完成!治部煮、キャベツの浅漬けとごはんです。各班美味しくできたかな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

食事中に青年委員会の紹介を行ったり、伊藤会長より食品に関する珍しい写真の数々をご紹介いただきました。

 

 

 

 

 

 

年末ということで、終了後は伊藤会長、嶋田先生にもご参加いただき、参加者の皆さん、スタッフ一同で「もつ真路」で乾杯!お疲れ様でした~!!

さて、今回のテーマは「だし」でしたが、「だし」は日本の食文化の中でも根幹をなしています。日本の食文化は「ゆでる」「煮る」など水を媒体とした加熱調理方法が基本となっており、これには、周囲を海で囲まれ、昆布、かつお、煮干しなど海産物からだしをとること、日本の水が軟水で昆布やかつおなどから旨味や香り成分を効率よく抽出できたことなど、環境・社会条件から長年の間に培われた味が日本のだしであろうと思います。

かつおぶしは日本の家庭にはどこでも当たり前にある食材ですが、実はかつおをおろすところから始まり、いぶして乾燥、カビ付けなど、まるで欧米のチーズのように複雑な工程を経て作られている日本の伝統食品です。海外ではなかなか手に入らないとのことで、最近では日本食を現地でも食べたいとフランスでもかつお節生産が始まったとのことです。

しかし、かつおは実は世界の海ではかなり数が減ってきています。マグロ類は地域によっては絶滅危惧種に指定されてしまいましたし、近い仲間であるカツオも昔に比べ激減しています。かつては、遠洋漁業に出ると「黒潮海域では、川が流れるようにカツオがたくさんいていくらでも獲れた」のが、現在は「カツオの居場所がわからず探さないと獲れない」のだそうです。

昆布も北海道沿岸などで「磯焼け」といって海底が砂漠のように昆布等海藻類が何も生えなくなる現象が発生して減っている地域もあります。

「普段の食材」は、いつまでも当たり前に手に入るものではないのかもしれません。
日本の味、「だし」のありがたみを感じながらぜひこのお正月、お雑煮やおせち料理を食べながら考えてみてくださいね。

 

田角 由香(技術士・水産部門)